2014年5月11日日曜日

転職活動で心を病まない方法について

はてなの増田で興味深いエントリを読んだ。

転職活動で心を病んだ件について
http://anond.hatelabo.jp/20140510231402

このエントリの内容の是非はともかくとして、率直な感想は「すごい数にエントリしてるな」だった。

この人の転職活動の経緯は知らないけど、たぶん転職エージェントに手当たり次第にエントリしろ、と言われたんだと思う。僕もそう言われた経験があるからわかる。

転職エージェントは、求職者が転職先企業に入社が決まってはじめてお金を貰えるビジネスだ。と、なると、エージェントとしても採用される確率の高い人に注力したい。確率の低そうな人は、数で勝負して少しでも確度を高めたい。当たり前の話だと思う。

つまり、エージェントに「エントリ数を増やせ!」と言われたということは、「あなたには一押しできる個性がない」と言われたのと同義だろう。

僕の経験を書く。

最初、転職活動をはじめたとき、とりあえず大手の転職エージェントに複数申し込んだ。ネットで申し込み、個人的な面談を受ける。このときにエージェントに履歴書とか職務経歴書を送るわけだが、当時の職務経歴書ははっきり言って無個性だった。

常駐型ビジネスで、常駐先企業に送るような、「会計システム構築 C# Oracle 200n年〜200n年」みたいなのが羅列されてるやつ。

いろいろなエージェントに言われたのは、「とりあえず50社に書類を送りましょう。それで1割ほど書類選考が通れば儲けものです」ということ。

新卒じゃあるまいし、そんなに書類送る時間あるかよ、と思い、エージェントに頼るのはやめることにした。

このとき、某大手Web企業が大阪に開発部隊を新設する、ということで、エージェントを通さずに直接申し込んだ。

自分の職務経歴書が無個性だということは、エージェントに「数を撃て」と言われたことでなんとなく察していたので、個性を出そうと思った。はっきりと覚えてないが、blogのURL、SNSのアカウント、勉強会やカンファレンスの登壇経験と発表資料のリンク、とかを書いたように思う。

数日して、電話がかかってきた。大手の転職エージェントからだった。曰く、ぼくが直接応募したWeb企業は、かなりの大規模採用だったため、自社で採用活動をまかなえないのでこの転職エージェントに採用業務を委託しているのだという。

電話の内容は、「採用は見送り」というものだった。書類選考だし、メールで合否が来るものと思っていたので、なぜ電話などしてきたのだろうと思ったら、エージェントが続けてこう言う。

「今回、この企業の選考ではスキルがマッチせず採用を見送りました。ただ、あなたの経歴はとても魅力的で、おそらく欲しい企業はたくさんある。なので、引き続きわたしの方であなたの転職活動をお手伝いさせていただきたい」

悪い話ではなさそうだったので、とりあえず会ってみることにした。

面談の場でそのエージェントは、数を撃て、とは一言も言わなかった。実はこのエージェント、最初に数を打て、と僕に言った会社だったのにもかかわらず(当然担当者は別)


そこから、エージェントはものすごく詳細に僕の資料をレビューし、応募先企業も厳選して選択してくれた。

結果的にそのときに紹介された企業に入社が決まった。

職務経歴書に個性を出すのは、やり方しだいでいくらでもできるんじゃないかと思う。特にIT系の仕事なら。

エージェントに数で勝負しろ、と言われたら、方針転換して書類を工夫して、別のエージェントに相談してみるのもいいかもしれない。

以上、僕の経験による「転職活動で心を病まない方法」でした。

2014年5月1日木曜日

東京会社訪問ツアー [pixiv, はてな, ドワンゴ]

■ きっかけ

今年で35歳になり、なにかと自分のキャリアであるとか、そういうものを深く考えることが多くなった。

エンジニアとしての自分自身のこととか、自分たちチームのあるべき形とか、そういうことを悶々と考えていると、隣の芝が青く見えたりもする。

そんな折、今年のゴールデンウィークに11連休という未曾有の大型連休の取得に成功。社会人生活史上でも類を見ないこの長期休暇を有意義に過ごすために、今回の旅を計画した。

そもそものきっかけは、以前@bash0C7さんがTwitter上で「今度うちの会社に遊びに来ていいよ」と言ってくれていたのを思い出したからである。
暦で平日にあたる期間に数日にわたって休みが取れることなどめったにないので、もし@bash0C7さんの会社のアポが取れれば、これをとっかかりにいろんな会社を見学しよう、と思った。幸い、これまでのコミュニティ活動の賜物として、主要なIT企業にはだいたい知ってる人がいる。この人脈を活かさない手はない。

お願いしたところ、@bash0C7さんから快くOKをいただき、さっそくその他いくつかの会社にも同様のお願いを申し出ることにした。

扱っているプロダクトであるとか、採用している開発プロセスとか、そういった部分で自分が個人的に話を聞いてみたいと思ういくつかの企業をピックアップ。その中で、「平日に訪問して1時間ばかり時間をいただき、社内の見学とか、お話を伺うとかしたい」というビジネスとまったく関係ない依頼をお願いできるくらいに仲の良い人がいる企業に絞り込んだ。会社として気になりつつも、使っている言語やプロダクトがあまりに自分たちと異なっている会社さんは、さすがに自分は話を聞けてもこちらからお話できる情報が無さ過ぎてご迷惑だろうと思い、そういうところは対象から外したりした。

調整の結果、pixivさん、はてなさん、ドワンゴさんの3社のご都合がつき、今回訪問させていただくことになった。完全に僕個人のわがままみたいな依頼だったのにもかかわらず、各社さんすべて真摯に対応していただいた。感謝してもしきれないくらいにありがたい。

■ ツアーその1: pixivさん訪問

4月30日。東京は雨。なんでも、場所によっては傘も役に立たないほどの豪雨となるらしい。以前デブサミで東京に来た時は歴史的な大雪だったな、と思いつつ山手線を代々木駅で下車。そこから明治神宮を横目にみつつ、歩くこと数分。オシャレオフィスで有名なpixivさんに到着した。

pixivさんといえば、めざましテレビで紹介されるほどのオフィス。訪問すると、壁一面が絵馬で埋め尽くされており、これまでゲストとして訪れた人の書いた絵とか、コメントが貼られている。

pixivさんには毎週水曜日にゲスト枠というのがあり、社外からゲストを招いて皆でランチを食べるという制度があるらしい。僕も今回そのゲスト枠に入れていただき、社員の皆さんと一緒にお弁当をご馳走になった。

オフィスに入ると、共有スペースにプロジェクタで座席表が映し出されている。どうやらランチの席順らしい。よく見ると、僕のTwitterアイコンが入っていた。


自己紹介をし、会社で乙女ゲームを作っている事を話すと、さっそく皆さんダウンロードして遊んでくださった。お礼をしないといけないので、このエントリを読んだ人は今すぐpixivのアプリをダウンロードしてください。

ちなみにご馳走になったお弁当はこんな感じ。


どうもごちそうさまでした。お弁当、すごく美味しかったです。

pixivさんのオフィスは、ものすごくオープンである。客先常駐プログラマ時代に、入口で携帯電話などの私物をロッカーに預けないと職場に入れないような世界を経験した僕など、想像もできないほどオープンだ。なんと、ランチ後のエンジニアの全体会議を見学させていただけた。

この会議。想像以上にガチで、「僕、ここにいて大丈夫なんだろうか・・・」とハラハラしてしまうほど。当然内容はここには書けないけれど、pixivエンジニアたちのサービスにかける熱さを垣間見ることができた。

全体会議参加後、絵馬を書かせていただき、名残惜しくも訪問時間が終了。社員犬のチョビと遊びたかった。


絵馬はエンジニアゾーンに飾らせてもらった。@kyon_mmさんの絵馬の近くであることが、写真からもお分かりいただけると思う。

pixivさん、ありがとうございました!

■ツアーその2: はてなさん

pixivさんを後にし、東京メトロで表参道へ行く。続いての訪問先は、はてなさん。

DevLove関西で出版した電子書籍に寄稿したご縁をきっかけに、開発部隊が同じ京都にあるということもあって、最近ははてなエンジニアの皆さんと仲良くさせていただいている。先日の勉強会で京都オフィスにお邪魔しているが、東京オフィスに伺うのはこの日がはじめてだ。

京都で行きつけの居酒屋で飲んでいるとばったりはてなエンジニアと出会う、というような事もあるほど、縁の深い会社である。

表参道駅を出て根津美術館方面へ歩き、はてなさんのオフィスを目指す。SIer時代から考えると、これまで数えきれないくらい色々な会社を訪問した経験があるが、会社に着くまでのお洒落さは自分の会社訪問史上最高だった。一歩ごとにドラクエの毒の沼のごとく、自分の中の何らかのパラメータが削られていくほどのお洒落さだ。

写真は、はてなさんの入っているビルの隣にある、根津美術館を囲む竹林。僕のような人間がこうしてカメラを構えていると、職質されるのではと思うほど、自分とは場違いな世界だった。


はてなさんも僕が勤めているフリューと同じく、開発部隊は全て京都にある。東京オフィスは営業、企画、編集、といった機能であるとのこと。知り合いの編集さんに応対していただいた。

(追記:東京にもディレクター、デザイナーさんがいらして、"開発すべて京都"ではないとのご指摘をいただきました)

以前京都オフィスにお邪魔したときは、やはり開発部隊のオフィス、という趣きだったが、東京オフィスはまたずいぶん雰囲気が違う。

はてなさんのサービスについてであるとか、開発時のコミュニケーションをどのようにしているか、であるとか、そういったお話をたくさん伺った。

同じ京都に開発を持ち、企画機能が東京にある、ということで自分のチームの状況と似たところもあり、ためになるお話をたくさん伺った。

(追記2:京都にも企画機能があり、完全にロケーションがわかれているわけではないそうです)

はてなさん、どうもありがとうございます! 京都出張の際は是非飲みに行きましょう!!

■ツアーその3: ドワンゴさん

翌日の5月1日。ニコニコ超会議の興奮冷めやらぬ中、歌舞伎座タワーへ。会社訪問ツアーのラスト、ドワンゴさんだ。

Scalaプログラマ的にドワンゴさんと言えば、最も気になる会社。デブサミでの講演を楽しみにしていたのだが、初日にインフルエンザを発症して結局そのまま大阪に帰ってしまったので、講演に参加できず、今回はそのあたりのお話も伺いたかった。

歌舞伎座に着くと開演前の大混雑。ふとこんな事を思った。

半分冗談だったのだが、予想外のリプライをいただく。

マジか!! Scalaといい、歌舞伎といい、心惹かれる会社である。

ちなみに、このツアーを公言してから、いろんな人に「だいくしーさん、転職活動してるんですか?」と言われたのだが、さすがにこんなに堂々と転職活動はしません。今のチームに持って帰るためにお話を伺っていますw


ドワンゴさんでは、主にScalaの話や、採用についてのお話、話題になった超チューニング祭りの事など、2時間近くお話を伺うことができた。

軽くオフィスも見学させてもらい、今度は女子マネがいるときに遊びにきたいなーと思った。

僕の訪問を聞きつけて@kmizuさんもお時間をとってくださり、ランチまでご一緒させていただいた。

@kmizuさんとはTwitterでは交流があったり、去年のScalaカンファレンスですれ違ったりはしていたけれど、ゆっくりお話させていただいたのは今回は初めてで、お会いできてよかった。

■ まとめ

普段、仕事をしていると、「自分たちの方向性とかやり方は本当にこれでいいのだろうか」と不安になることがある。今の僕がまさにそういう状態にあったのだけれど、各社さんでお話を聞き、自分が正しいと思っている方向性とか、価値観はどうやら間違っていないようだ、ということを再確認することができた。

コミュニティ活動を通じて、いろんな会社の人と交流を持ち、こうして実際に会社に伺ったりすることのできる自分の仕事は、素晴らしい仕事であるなぁ、と本当に思う。

今回の旅は、僕が一方的にいろいろなものを受け取る旅だったけれど、お返しに自分も皆さんに何かの価値をお渡しできるようにならないといけない。

完全に僕のわがままみたいなご依頼に快く応対してくださった皆さん、本当にありがとうございました。

京都にお越しの際は、ぜひ弊社にも遊びに来てください!!